【全文】衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 質疑/組織活動本部長・武藤かず子(2026年5月14日)の要約
武藤かず子議員が地域活性化・こども政策・デジタル社会形成特別委員会でAI開発向けデータ利活用と個人情報保護の在り方について質疑をしました。
2026年5月14日、衆議院の「地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会」で、チームみらいの武藤かず子議員が3人の参考人(専門家)に質疑を行いました。テーマは、個人情報保護法などの改正案で新設される「AI開発向けデータ利活用の特例」と、それを安全・公正に運用するための仕組みづくりです。
今回の委員会で審議されているのは2本の法案です。
- 個人情報保護法の改正案: AI開発などを目的としたデータの第三者提供について、本人の同意が不要になる「統計作成等の特例」が新設されます
- デジタル行政推進法の改正案: 行政のデジタル化をさらに進めるための制度整備
これまで日本では、企業が個人データをAI開発に使うには、一人ひとりから同意を取る必要がありました。この手間が多く、他国に比べてデータ活用が遅れているという指摘がありました。
武藤議員は、情報処理推進機構AIセーフティ・インスティテュート所長の村上明子参考人に2点を質問しました。
- 今回の特例(本人同意不要)は、データ利活用を起点としたガバナンス再設計という方向性に沿うと評価できるか
- シンガポールが政府主導で整備しているPETs(プライバシーを保護しながらデータを処理する技術の総称)のような支援を、日本でも企業(特に中小・スタートアップ)が利用できるようにすべきでは
村上参考人は「今回の法改正で利活用が加速することを評価している」としつつも、「日本企業はデータの所在や使い方を文書化する文化が薄く、データガバナンスの整備が欠かせない」と指摘。AISIとしてデータ品質のガイドライン策定を進めていると述べました。
PETsの支援については「中小企業が単独で評価ツールを導入するのは難しい。国がサンドボックス(安全な試験環境)を用意して企業が使えるようにすることは非常にいい問題提起だ」と前向きな見解を示しました。
武藤議員は次に、弁護士の森亮二参考人に課徴金制度についての見解を求めました。
| 制度 | 罰則の規模 | |------|----------| | EUのGDPR(一般データ保護規則) | 全世界売上高の最大4% | | 米国カリフォルニア州CCPA | 違反1件あたり最大750ドルの損害賠償 | | 日本の今回の課徴金制度 | 得た利益の返還(利益剥奪型)、1000人超の大規模事案が対象 |
森参考人は「欧米と比べると額が低く、抑止力も当然弱い」と明言。「違法行為をして得た額を返すだけでは、試しにやってみるかという話になる。大損するかもしれないという恐れがないと、抑止力にならない」と述べ、立法的な課題として強化を求めました。
武藤議員は最後に、東京大学名誉教授の森田朗参考人に2点を質問しました。
- 「入口規制(データ取得時の同意)から出口規制(アクセス管理)への転換」を実効的にするために、最優先で整備すべき条件は何か
- EUのGDPRが掲げる「目的限定の原則」と「データ最小化の原則」と、今回の統計作成等の特例はどう整合するか
森田参考人は医療データを例に説明しました。「医療では、患者本人の治療に使う顕名データ(本名付きの詳細なデータ)と、研究・創薬に使うデータが常に行き来する。入口でデータを絞ってしまうと、社会が持つ大きな資源を活かせない」と述べ、「今回の法改正で入口規制が緩和されたことは評価できる」としました。
GDPRとの整合については「個人情報保護法の細部について責任ある形でお答えしかねる」としつつ、「一般原則をそのまま当てはめるのは難しく、医療など分野ごとに応じた制度設計が重要」と述べました。
武藤議員は質疑の最後に「守るために止めるのではなく、信頼して使える制度に機能させていきたい」と述べ、参考人の知見を今後の検討に活かす意向を示しました。今回の質疑では、データ利活用の推進と個人情報保護のバランスをとるために、企業のデータガバナンス支援、罰則の実効性向上、そして分野ごとのきめ細かい制度設計が課題として浮かび上がりました。