2026年5月20日·衆議院·委員会·農林水産委員会
【全文】衆議院 農林水産委員会 質疑/林拓海(2026年5月20日)の要約
林拓海議員が衆議院農林水産委員会でお米の需要拡大・民間備蓄の実効性・新規就農者の確保について参考人に質疑をしました。
食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律)の改正案をめぐり、2026年5月20日、衆議院農林水産委員会で参考人質疑が行われました。チームみらいの林拓海議員が、外食業界・農業法人・農業団体の参考人たちに、お米をめぐる現場の実態を聞きました。
お米の需要、本当に増やせる?
林議員はまず、「需要に応じた生産」という食糧法改正の方針を踏まえ、輸出用米や加工用米のニーズをどう拡大できるかを参考人に質問しました。
- ゼンショーHDの小川社長は「国内の日本米への需要は底堅く、むしろ伸びている可能性もある」と指摘。インバウンドや輸出に期待するより、まず国内需要をしっかり満たすことを優先すべきと述べました。輸出については、アメリカの農場は数百〜千ヘクタール規模が当たり前であるのに対し日本は農地規模に限りがあるため、価格競争になると不利だとして、「付加価値を感じてもらえる範囲で」と慎重な見解を示しました。
- 農業法人協会の齋藤会長は、海外で展開するおむすびチェーン向けに年間500トンの輸出実績を紹介し、「もっと増やせ」という引き合いが強い状態だと語りました。病院に設置したおむすびの自動販売機が大ヒットしたエピソードも紹介し、粘りや甘さが特徴のジャポニカ米(日本型のお米)の差別化優位性を強調しました。
民間備蓄、実効性はあるの?
食糧法改正では「民間備蓄制度」が新設されます。不作のときなどに備えて、民間企業がお米を一定量ストックする仕組みです。林議員はその実効性を深掘りしました。
- 北海道農民連盟の山口書記長は、民間備蓄は「回転備蓄」(常に一定量を保ちながら売り続ける方式)のため、市場から隔離する効果は限定的だと指摘。農業従事者が今後減り続ければ、そもそも備蓄できる供給力を確保できるかどうか自体が怪しいとも述べました。
- 小川社長は「制度設計次第」と整理しました。通常の事業在庫に上乗せして積み増す方式なら備蓄としての実効性は高いが事業者の負担(倉庫代など)も増える。通常在庫の一部を備蓄に充てる方式なら負担は少ないが、いざというときに単に「こちらの需要からあちらの需要へ回す」だけになりかねず、緊急時の備えとしての機能は弱まると説明。関係事業者とのコミュニケーションで具体的なルールを詰めるよう求めました。
農業の担い手、どう増やす?
需要に応えるための供給体制を支える人材不足を、林議員は最後のテーマとして取り上げました。高校で進路相談を担当した経験を持つ林議員は、農業を志す若者が少なかった実感を率直に語りつつ、新規就農者を増やすためのアドバイスを求めました。
- 柴田参考人(秋田・やまだアグリサービス)は、地域おこし協力隊を受け入れたり求人活動をしたりしても定着しないと告白。団塊の世代が80歳に差し掛かる3〜5年後には農業従事者が一気に減り、農地を維持できなくなるとの強い危機感を示しました。「これだという答えは出せない」と正直に述べつつ、「若い人がやれる産業にしていくしかない」と語りました。
- 齋藤参考人は、農業機械の価格高騰を具体的な数字で紹介。トラクター約1,000万円、田植機700万円、コンバイン2,500万円、乾燥調製施設(収穫後のお米を乾燥・調整する設備)3億円——これらをすべて借入れで賄うリスクは大きく、「再生産は無理」と厳しい実態を明かしました。
- 山口参考人(北海道農民連盟)は、農業経験のない方が土地利用型農業(田畑でコメや野菜を育てる農業)で安定した所得を得られるようになれる割合は「本当に数%」と述べ、資金調達の難しさや技術習得に時間がかかることを指摘。既存の農業者でさえ大変な状況での新規就農には総合的な支援策が重要と強調しました。
まとめ:課題の山積み
参考人質疑を通じて、食糧法改正をめぐる現場の現実が浮かび上がりました。お米の需要拡大は国内中心で現実的に行う必要があり、輸出は付加価値戦略に絞るべきという見解。民間備蓄は設計次第で実効性が左右される難しさ。そして農業の担い手不足は数年以内に急激に深刻化するという警告——これらの声を受けて、林議員は引き続きしっかり考えていく姿勢を示しました。