【全文】参議院 総務委員会 質疑/党首・安野貴博(2026年5月19日の要約
安野貴博議員が参議院総務委員会でAIサイバー攻撃への政府対応とAISI強化について質疑をしました。
参議院総務委員会で、チームみらいの安野貴博議員が、AIを悪用したサイバー攻撃への政府対応と、AIの安全性を評価する専門機関の強化について質問しました。
2026年4月7日、アメリカのAnthropic社(AIを開発する企業)が「Claude Mythos」という高度なAIモデルを発表しました。このAIはサイバー攻撃と防御の両方に使える能力を持っており、世界各国が対策に動き出しました。
- アメリカは発表当日に大手銀行との緊急会議を開催
- イギリスは8日後の4月15日に企業向けの注意喚起文を発表
- オーストラリア、カナダ、シンガポール、EUも相次いで対応
一方、日本が対策パッケージを公表したのは発表から約6週間後。安野議員は「初動のスピードに改善の余地があるのではないか」と問いただしました。
内閣府副大臣(今枝宗一郎氏)は、政府内部では国家サイバー統括室(NCO)を中心に諸外国の政府や関係企業と緊密にやり取りを続けていたと説明。ただし、セキュリティ上の理由から詳細は公表できないとしました。
また、5月18日には「Project YATA-Shield」という名称で重要インフラ事業者向けの対策パッケージを公表したと報告しました。
総務大臣(林芳正氏)も、「今後の対応について迅速に動けるかどうか検証したい」と前向きな姿勢を示しました。
安野議員が特に力を入れたのが、「AISI(AIセーフティ・インスティテュート)」の強化です。
AISIとは、AIモデルが安全かどうかを評価する政府の専門機関です。安野議員によれば、イギリスのAISIは高度な評価能力を持っているため、AI開発企業が「リリース前の新しいAIをイギリスに早めに見てもらう価値がある」と判断し、優先的にアクセスを提供しているとのこと。
日本のAISIも同様の信頼を得るために優秀な人材の確保が重要だと訴えました。政府側は「給与規程を見直し、民間の優秀な人材を確保できるよう処遇改善を進めた」と答えました。
安野議員はさらに踏み込んだ提案をしました。
AI開発企業が日本のAISIに「まだ公表していない機密情報」を共有してくれるためには、情報が漏れないという制度的な保証が必要です。
現状の守秘義務(法律上の秘密保持のルール)については、違反しても拘禁1年以内・罰金数十万円程度で、国家安全保障レベルの情報を守るには不十分ではないかと指摘。
「セキュリティクリアランス制度(国家機密を扱う人に政府が付与する特別な資格のようなもの)をAISIの職員に適用すべきでは」と提案しました。
政府側は守秘義務制度の適切な運用で対応する考えを示しましたが、安野議員は「国家安全保障レベルの問題として考えるべき」と重ねて求めました。
最後に安野議員は、政府や自治体のシステムにもAIを使って弱点(脆弱性)を自動的に見つけ出す仕組みが必要だと訴えました。
ただし、ここには難しい問題があります。
- 機密情報を扱うシステムの穴を探すためにAIを使いたい
- でも、外部のサーバーにAPI(接続口)経由でアクセスすると、機密情報が外部に漏れる可能性がある
この矛盾を解決するため、「政府が自ら管理するサーバー上でAIを動かす(オンプレミス方式)環境の整備が必要では」と提案。政府側は「AIを活用したセキュリティ対策について、ご指摘の論点も含めて検討する」と答えました。