2026年6月3日·衆議院·委員会·国土交通委員会
【全文】衆議院 国土交通委員会 質疑/国対委員長代理・須田英太郎(2026年6月3日)の要約
須田英太郎議員が衆議院国土交通委員会で建築物省エネ法の改正案について質疑をしました。
須田英太郎議員が2026年6月3日の衆議院国土交通委員会で、「建築物省エネ法」改正案について質疑を行いました。建物を建ててから壊すまでの全期間(ライフサイクル)を通じた脱炭素をどう実現するか、3つの観点から問いました。
どんな話?
今回の法改正は、建物の一生分のCO2排出量(ライフサイクルカーボン)をまとめて評価する仕組みを新設するものです。
ただし課題があります。
- 建物は設計どおりには使われません。エアコンの使い方や利用時間の違いだけで、エネルギー消費は大きく変わります
- イギリスのエネルギー研究所の調査では、実際のエネルギー消費量が予測の最大2.5倍になるケースも報告されています
- 設計段階の数字だけを評価する制度では、実態の脱炭素につながらないのでは?というのが須田議員の問題意識です
海外の先行事例は?
須田議員はオーストラリアの「NABERS(ネイバース)」という制度を紹介しました。
- 過去12か月の実際の電気・ガス使用量(光熱費の明細で確認)をもとに評価する
- 格付けは12か月で失効し、継続的に実績値で再評価が必要
- 1,000㎡以上のオフィスの売買・賃貸時には、エネルギー情報の開示が義務化されている
日本でも「BEMS(ビルエネルギー管理システム)」という建物の電力使用量を計測・管理するシステムが普及しており、この実測データを活用すれば実績ベースの評価が可能になると主張しました。
大臣の答えは?
金子恭之 国土交通大臣は以下のように答えました。
- 設計値と実態のズレは認識しており、評価方法の見直しを継続的に進めている
- 新設する第三者認証・表示制度では、エネルギー使用実績に基づく評価・表示も検討すると明言
- 公共建築物については、民間(5,000㎡以上の事務所が対象)より広い範囲(2,000㎡以上)でライフサイクルカーボン評価を義務づける予定
また宿本尚吾 住宅局長は、既存の建物への制度展開について「改修時にも活用でき、実績値に基づく評価・認証も可能とする予定」と答えました。
運用を支える産業の育成も
須田議員は建物の「運用段階」を専門的に支える事業者(省エネ診断・改修・エネルギー管理など)の重要性も指摘しました。アメリカではこれらを合わせた市場規模が年間1兆円超に上るのに対し、日本ではまだ発展途上です。大臣は経産省とも連携しながらBEMS・HEMSへの支援を進めると答えました。
これからどうなる?
日本の既存建物の延べ面積は、新築の約65倍にもなります。新築だけを評価しても建物全体の脱炭素は達成できません。今回の質疑で、実測データに基づく評価制度の導入と既存建物への展開、両方の検討が進んでいることが確認されました。