いまきたみらい
2026年6月9日·衆議院·委員会·農林水産委員会

【全文】衆議院 農林水産委員会 質疑/林拓海(2026年6月9日)の要約

林拓海議員が衆議院農林水産委員会で陸上養殖の振興策(規制整備・人材育成・市場展望)について質疑をしました。

林拓海議員(チームみらい、衆議院)が2026年6月9日の衆議院農林水産委員会で、注目の新技術「陸上養殖」について政府側に質問しました。規制の整備、人材育成、市場の将来性など、産業育成に向けた課題が幅広く議論されました。

陸上養殖って何?

陸上養殖とは、海や川ではなく、陸上に設けた水槽などの人工施設で魚介類を育てる方法です。

  • 水温や水質を細かく管理できるため、自然環境の影響を受けにくい
  • 閉鎖循環式(水をろ過・殺菌して繰り返し使う方式)では、寄生虫や病気のリスクを大幅に下げられる
  • 政府が重点投資する「フードテック」の中でも、特に先行して検討が進んでいる分野

現状、陸上養殖が養殖業全体に占める割合はわずか約0.8%にとどまっています。鈴木農林水産大臣は視察した施設(神奈川・千葉)での経験を踏まえ、「種苗(養殖に使う稚魚)の安定確保や、収益化まで時間がかかる点が課題」と述べました。

どのくらい大きな市場になる?

農水省の試算では、2030〜2040年にかけて世界人口が約6億人増えることで、水産物の需要が865万トン増加すると見込まれています。

この増加分の30%を陸上養殖が担うと仮定すると、生産物とシステムの合計で世界全体で約31兆円の市場が生まれる計算です。日本は水処理・浄化技術に強みを持ち、その技術を世界に展開できる可能性があると、大臣は強調しました。

課題①:規制の「地域格差」問題

陸上養殖に参入しようとする事業者にとって、大きなハードルのひとつが自治体によって規制がバラバラな点です。

  • 取水できる地下水の量に上限を設けている自治体もある
  • 排水の水質基準(COD:水の汚れ具合を示す指標)を独自に厳しくしている自治体もある
  • 建物の緑地確保や景観に関する規制もさまざま

林議員は「どの自治体に進出したら何の規制があるのかが分からず、事業者にとって予見しにくい状況になっている」と指摘。農水省に対し、参入に必要な規制をロードマップとして整理して示すべきと求めました。広瀬農水大臣政務官は「地方自治体とも連携しながら、分かりやすく整理して事業者に伝えていく取り組みを行いたい」と答えました。

課題②:担い手となる人材をどう育てる?

陸上養殖では、魚の生態や病気の知識だけでなく、プラント設計・水処理・ICT・AIを使ったデータ解析など、幅広い技術の知識が求められます。

林議員は元高校職員としての経験を交え、「最新技術を目の当たりにすると生徒は目を輝かせてその道を志す」と述べ、水産大学校・水産高校・大学などへの専門家の派遣や施設見学の機会提供を政府が積極的に後押しするよう求めました。

広瀬政務官は「陸上養殖の専門家を学校に派遣したり、施設見学を行うことは重要と認識している。今後さらに検討を深めたい」と前向きな姿勢を示しました。

これからどうなる?

鈴木大臣は「陸上養殖は食料供給や地域経済の活性化だけでなく、日本の技術を海外に展開して新たな富を呼び込む手段にもなる」と総括。自らがフードテックワーキンググループの座長としてロードマップ取りまとめを進めていると明らかにし、官民連携での推進を約束しました。

林議員は最後に、今回触れられなかった「種苗の国産化」「電力コストの問題」についても継続して対応するよう求め、質問を締めくくりました。