2026年8月28日·その他·選挙制度について語ろうナイト
選挙制度、どうあるべき? チームみらいの提案は?──「選挙制度について語ろうナイト」レポートの要約
会話形式(原文ベース)
- 河合そもそもこの議論、どんなふうに始まったんでしたっけ?
- 峰島いま「選挙制度協議会」という場で、衆議院の選挙に限った話として議論されています。チームみらいが議席を得る前から、与野党全党の合意で始まったものです。テーマは「抜本改革」と「現状制度の手直し」の両方。手直しだけでは根本が変わらないので、今のをどう変えるかまで答えを出そう、という趣旨です。
- 河合素朴な質問ですが、抜本改革ってどういうことですか?
- 峰島ちょこっと直すのではなく、制度の目的から考え直すということです。 今の選挙制度で一番大きな課題はの低さ。民主主義は国民みんなの意見を反映する仕組みなのに、半分ぐらいの人しか投票できていない。それ自体、民主主義としてどうなのか。が多いという問題もあります。民主主義のあり方として今の選挙はどうあるべきかまで考えよう、というところからスタートしました。
- この協議会がいいなと思うのは、「自分たちはこういう選挙制度がいいと思う」と、すべての党が発表したことです。おそらく歴史上初めてで、それが今年の5月。秋のをめがけて議論しています。たとえば抜本改革についてはこんな主張があります。 現状維持:のままでいい。今の制度はそんなに悪くない 一本:をゼロにして、だけでやる 制+:一つの選挙区から複数人が通る形にし、当選者数の分だけ名前を書く
- 河合かなり多種多様ですね。
- 峰島現状制度の手直しについても、論点がいくつもあります。 :削減すべきという意見も、増やすべきという政党もある :で落ちた人がで復活するのはおかしいのではという意見 :名簿が尽きた政党の議席が他党に回る問題。を下げて立候補のハードルを下げては、という案も :選挙権が18歳からに下がったので、立候補できる年齢も下げてはどうかという意見も
- チームみらいの主張は、1枚のウェブページにまとまっています。 大切にしているのは、具体的な制度の話に入る前に「あるべき選挙制度とはこういうものだ」というビジョンを考えること。何をやりたいのかが決まっていないと、ちぐはぐな制度設計になってしまいます。掲げているのは4つです。 自分の声が届いていると実感できる政治:を減らし、票が無駄にならないこと。 世代間格差を減らし、世代を超えた未来思考の政治:世の中の変化に合わせた国民の要望を汲める状態であり、新しい担い手が出てこられること。 公平で多様性のある政治:政治家は多様な声を代弁する役割。性別も年齢も、顔ぶれが偏らないこと。 与野党双方が建設的な議論を行える政治:与野党ともに高い政策立案能力を持ち、適切に国会が監視されること。
- 河合選挙で与野党の政策立案能力を上げる、というのはイメージが湧きにくいのですが。
- 峰島候補者には「政党の候補者」と「個人」の二つの側面があり、バランスが重要です。個人に寄りすぎると、国会では党議拘束など政党単位で動くことが多いのに、政党としての力が評価されないまま結果が出る。逆に政党に寄りすぎて、「なぜあの人が議員をやっているんだろう?」という状態になるのも健全ではない。それぞれのバランスが取れた上で、政党の主張がしっかり届いて評価される選挙にしたい、というのが4つ目です。
- 河合そのビジョンの上で、具体的にはどんな提案をしたんですか?
- 峰島ここから少しずつ難しくなります。党内で議員も含めて相当議論した結果、抜本改革については「()」──最近は「」と呼んでいます──を主張しています。今は一番いいと思った人の名前を一つ書きますよね。はの枠組みは維持したうえで、1番はこの人、2番はこの人、と順位をつけて投票します。
- 今のの問題を僕は「」と呼んでいます。たとえば、何かのテーマに対して、賛成は60%・反対は40%いるとします。どちらが勝つべきだと思いますか?
- 河合多いほうですよね。
- 峰島ところが実際の選挙ではそうならない。賛成の候補が2人出ると票が30対30に割れて、反対の40が勝ってしまうというようなことが起こる。昔は政党の数が少なかったので起きにくかったのですが、都市部を中心にが進んだ結果、票割れの問題が大きくなりました。 僕が出たも6党が候補を立てていた。何党出ても通るのは1人ですから、実は多数派ではないのに、少し変わったことを言っているところに票が集まって勝ってしまう、ということが起きているように思います。 そこで政党がやっているのが「」です。政策の似た二つの政党が、票を分け合わないように、ここはあなたが出て、別のところは私が出る、と交渉で決める。
- 河合ちょっと裏工作的というか、有権者から見ると選択肢が減ってしまいますね。
- 峰島見えないところで決まりますからね。逆に有権者の側も「」をしています。本当はあの人に入れたいけれど、勝てそうにないから勝てる人に入れよう、と。これは民主主義的によくない。それを解決できるのがです。
- はいらないし、有権者は一番いいと思った人に素直に入れればいい。開票では票の少ない候補から順に脱落し、その人に入れていた票は、投票用紙の次の順位の候補へ移っていきます。さきほどの30対30対40なら、最終的に賛成側のどちらかに60%が集まり、反対の候補との一騎打ちで賛成側が勝つ、という構図がつくれます。 の問題も変わります。今は自分の入れた人が落ちたら終わりですが、2番目、3番目に書いた人へ票が受け継がれるので、結果に及ぼせる可能性がずっと大きくなる。「今の政権はイマイチだ」と思ったときに野党側で結集する動きもやりやすくなり、政治にダイナミズムが生まれると思います。
- は残す主張をしている理由は、政策本位の選挙にしたいからです。同じ選挙区に同じ政党から複数人が出ると、政策は同じですから人物の人気投票に近くなる。参議院が制をとっている今、衆議院には政党を選ぶ=政権を選ぶ機能を残すべきだと考えました。
- 河合政党ごとの争いは残しつつ、一番強いところ以外はまとまらないと戦えない、というデメリットだけをなくす、ということですね。
- 峰島は世界共通の現象です。僕が住んでいたイギリスも、もともとは二大政党制でしたが、今は第三極・第四極が出てきています。そういう状況において、新しい党を出づらくするのではなく、意見を集約できるような仕組みをつくるべきだと考えます。
- 河合30年前の選挙制度改革でを導入したときは、政党同士の争いを成立させる意図でしたが、に合わなくなった。だからはで、という提案ですね。
- もう一つ、はどうしたいと提案したんですか?
- 峰島は、政党名で投票してもらい、得票に応じて議席を配分する制度です。この配分方式は複数あって、日本は今「」。僕らは「」に変えようと提案しています。細かい割り算は置いておくと、やりたいことは一つ。得票の割合と獲得議席の割合を、なるべく同じにするということです。
- 河合はそもそも、票に応じて議席を分ける仕組みじゃないですか。なぜやり方で反映度が変わるのでしょう?
- 峰島100人の村で考えてみてください。10議席を争い、政党はA党とB党だけ。A党90票・B党10票なら9対1でよさそうですよね。でも現実には端数が出ます。A党92票・B党8票だったらどうか。1議席あたり10票ですから、この端数2票分の処理が問題になります。 (切り捨て):A党 10議席/B党 0議席 (四捨五入):A党 9議席/B党 1議席
- は切り捨てなので、8票は10に届かず0議席。でもそれでは、A党9議席、B党0議席で1議席余ります。合計10議席になるように、得票数をそれぞれ10%ずつ上乗せしてみると、A党は約101票、B党は8.8票。1議席10票で切り捨てると、A党10議席・B党0議席。A党が10議席を全部取ります。 一方のは四捨五入なので9対1。感覚的にはこちらのほうが納得しやすいと思います。 実際の選挙結果でも、大政党は議席率がより高く出る傾向があります。そのズレ幅はでだいたい3ポイント。なら0.7ポイント程度まで縮まり、しかも有利不利が政党の規模に左右されなくなる。より公平で民意を反映していると考えるので、にはを、と提案しています。
- は協議会のにも取り上げられ、取材も受けるのですが、記事には「中小政党に有利」と書かれてしまう。そこは訂正したい。 が中小政党に有利なのではなく、が大政党に有利なんです。四捨五入の境目で議席割合が上下することはありますが、規模で偏るわけではなく、平均を取れば乖離幅は非常に小さい。数学的にも証明されていて、世界でもが主流です。
- 河合については、どんな議論がされているんでしょうか?
- 峰島与党側からは、定数を減らそうという意見が出ています。オフィシャルな説明は「日本の人口が減っていくので、国会議員も減らす」というもの。今回は1割減らそうという提案もありますが、人口は1割も減っていません。そもそも衆議院の定数は2017年にも一部減らされています。 チームみらいは反対です。国民の数に対する議員の数で見ると、日本は世界で最も少ない部類。アメリカやインドは日本より少ないものの、州や地方の力が強く州議会の議員が多いという違いがある。それらを除くと、おそらく日本が最も少ない。そこからさらに減らす理由が見えません。
- ABEMAで定数削減反対を表明したとき、ひろゆきさんに「こんなに若くてもしがみついちゃうんだな」と言われました。そう見られるのはしょうがない気もします。ただ、地位にしがみつこうとは思っていない。 協議会に呼ばれた有識者、政治学者や地方の市長・区長も、10人のうち9人が削減に反対です。一方、世論調査では「減っていいなら減らせば」という声も多い。だからこそ、議論すること自体はいいことだと思っています。
- 河合「チームみらいはAIを使って、少ない人数でもできるようにすればいいのでは」という意見もありますね。
- 峰島国会議員の生産性はもっと上げるべき。これはイエスです。ただ、それで議員を減らすべきかは別の話。世の中の変化が速くなる中、生産性を上げてより多くのことに、より早く対応できるようにすべきだと考えています。
- 河合チームみらいの選挙制度の提案に関して、も行っています。
- 峰島AIがインタビュアーになり、アンケートと違って「なぜそう思いますか」と深掘りしてくれるものです。
- 河合その中には「制の方がいいのでは」という意見もありましたよね。
- 峰島制については、党内でも議論しました。僕らは4つのビジョンの達成が大切で、特定の制度にこだわっているわけではありません。制は正直、非常に面白い。複数人が当選するので自分の入れた候補が通る確率が上がる、つまりが減ります。そして多様性──参議院は女性比率が衆議院の2倍ほど高く、制の影響もあると考えられます。 それでも選ばなかった理由は2つ。まずは、お金がかかること。選挙区内に事務所を複数持つ人も増えると思いますが、お金がかかるようになると大政党や組織票が強くなると言われます。 もう一つは政権選択の機能です。制は票が分散して緩やかにが進むので、今の政権にNOと言うために野党側で意見を集約する働きからは遠ざかる。今の衆議院だけで考えるなら、の方が勝ると考えています。
- 河合私たちの提案内容に関しては、どのような反響がありましたか?
- 峰島チームみらいを応援してくれている人が多く回答してくれたからという理由もあると思いますが、僕らの考えと近い意見が多く寄せられました。 向上には情報提供と教育が必要:小中高でを体験的に実施すべき、など。最も多かった意見。 を評価する声:民意の反映につながる、という前向きな意見 の根本的な課題を改革すべき:今の制度は何かしら変えた方がいい、という方が多い
- 興味深かったのが「は複雑で、実装への対応が必要では」という指摘です。その通りで、少なくともマークシートは導入すべきで、理想的にはが望ましい。ただ、できないものではありません。オーストラリアやアイルランドでは100年ほど実施されていますし、最近ではニューヨーク市長選の予備選挙でも使われ始めています。(アメリカの選挙改革団体)の調査では約70%の人がに好意的でした。
- 今回の協議会で初めて本格的に議論が始まる論点で、憲法にも関わるので大きな議論になると見ています。チームみらいとしては、今ある格差は縮小した方がいいし、少なくともこれ以上広げるべきではないと考える人が党の中でも多い。ただ、憲法から変えることには現時点では慎重です。
- とても重要なテーマです。投票用紙に名前を書くこと自体が実はかなり高度な作業で、書き間違いの問題もあるし、さまざまな障害のある方には難しいこともある。で投票できているのは2%だけ、という問題もあります。まず選挙権がある人が全員選挙にアクセスでき、そのうえでを上げていく。その順番が大事です。 の読み上げ対応も設定が難しく、僕自身も苦労しました。街頭演説は音声だけなので聞こえづらい方には届きにくいのに、モニターに字幕を出そうとすると「」に当たってNGになる。法律の趣旨と実態が噛み合っていない部分が多く、チームみらいとして向き合っていきたいテーマです。
- 河合ほかにも「選挙にかかるお金を分かりやすくしてほしい」「野党との合意形成の見込みは」「自分ごととして選挙を見てもらうには」「でのの扱いは」といった質問をいただきました。ありがとうございました。
- これから徐々に決まっていく中で、私たちの主張だけが通るとは限りません。チームみらいとしては、この議論にどう臨みますか。
- 峰島まず、オープンに議論すること。30年前の「」は党首同士の会談のような形で決まっていて、なぜその仕組みになったのか、公の議事録に十分な証跡が残っていません。選挙制度こそ民主的に決まるべきだし、後から検証できるべきで、国民みんなが納得感を持てることが大切です。もう一つは、何を達成したいのかを明確にすること。 そのうえで、次ので皆さんに聞きたいのは、チームみらいの「あるべき進め方」です。赤裸々に言えば、自分たちが100点だと思うものがそのまま通る確率は低いので、どう合意を形成していくかを考える必要が出てくると思います。 定数削減には反対ですが、与党は数の力で通すことができてしまうという現実がある。その中で、どこまでなら許容できるのか。が一番いいと思っていても、合意のためにどこまで譲歩していいのか。そこを伺いたいと思っています。
- その上で思っているのは、自分たちが考えていないことを、考えているかのように言うのは嫌だということです。仮に交渉の過程で定数削減を飲まなければいけなくなったとしても、「定数削減はやっぱり必要だと思う」とは言いたくない。違うと思っているなら、そう言うべきです。所属議員もそれぞれ自分の考えを語っていく中で、本心と違うことを言うのは大変ですから、政党として誠実でありたい。
- 河合「自分たちの身分を維持する手段を自分たちで決めるのはずるく見える」というご意見もいただいていますよね。だからこそ、でいろんな視点を取り入れたい、ということですよね。
- 峰島選挙制度の議論は、ブラックボックスの中でやるべきではありません。国会全体としても、チーム内としても、赤裸々なところを含めて外に開いていきたい。チームみらいに期待すること、こういう姿勢で交渉に取り組んでほしいという声を、ぜひ寄せてください。の第2弾も出しますので、ご協力いただければと思います。 自分たちの考えだけでなく、交渉の過程もオープンにしていく。これはチームみらいの新しい挑戦です。みんなにとっていい選挙制度を実現するために、しっかり取り組んでいきます。