2026年10月26日·その他·ぶら下がり会見
「AI失業対策提言」を官房長官に提出しました【提言全文掲載】の要約
会話形式(原文ベース)
- 記者:あらためて、木原に申し入れた提言の中身と、からどのようなお言葉があったのか、あわせてお聞かせください。
- 安野:本日提言させていただいたのは、に関する提言で、正式には「」です。 AIには非常に大きなポテンシャルがあり、有効活用していけば、さまざまな業界の助けになるものだと思います。一方で、同時に発生するのがの問題です。つまり、AIによって雇用を奪われる人たちが出てしまうということです。 北米では日本より早く労働市場の変化が起きていて、たとえばソフトウェアエンジニアや、新卒・ジュニア層の雇用は、ChatGPTの登場以降、実際にダメージを受けています。大きなところでは、雇用の量が2割ほど失われているのではないかという論文もあります。 日本ではまだこれは起きていません。さまざまな労働統計を見ても、AIによって雇用が減ったということは、数値上はまだ観測できていません。ただ、起き始めたら相当なスピードで進む可能性があるので、政府としてもしっかり受け身を取れるようにするべきではないか、という提言をさせていただきました。 具体的には3つあります。 1つ目は、センサーをしっかり発達させることです。海外の事例から、特定の業種が影響を受けやすいことはわかっているので、そうした業種について解像度高く調査・分析し、変化が起き始めたらすぐに気づけるようにしよう、というものです。 2つ目は、実際に職を失ってしまった方が・をして、別の業界で働けるよう支援することです。職業訓練校はさまざまありますが、現状ではカリキュラムを作ってから認可されるまでにかなりのがかかります。労働需要の変化は急激に起きる可能性があるので、このを短くする施策ができないだろうか、ということです。 3つ目は、生活保障です。今回のでは、が予想を超える規模で起きる可能性があります。やを経て転職される方がいる一方で、移動しきれない方も出てくるだろうと思っています。そうした方々の生活をしっかり支えられる状態にしておくべきではないか、ということです。 具体的には、たとえば支援によって「こういう支援メニューがあったんだ」と気づいてもらい、政策の恩恵を受けられるようにすること。また、制度上参照される所得と実際の生活との間には、かなりタイムラグがあることがあります。実際の生活は苦しくなっているのに、参照される所得は高いままなので、非常に大きな負担を強いられる方が出てくる。そうしたことがないよう、このタイムラグを短くしていくべきではないか、ということも提言しました。 また一方で、の恩恵を享受するための施策も重要です。AIによって社会が変わる際の受け身としての規制緩和も同時に必要ではないか、ということもあわせてお話ししました。
- 記者:や遠藤補佐官が提言のどの部分に関心を示されたかなど、先方の反応や、印象に残っているお言葉があれば教えてください。
- 安野:危機感については一定程度共有できたと思っています。
- 高山:先週ので、から年内のが指示されており、今回の提言はまさにそこと重なる内容でした。では2030年までの絵姿や、それに向けた規制改革のあり方、働き方の変化もスコープに入っていて、そこにぜひ知恵が欲しい、とおっしゃっていただきました。
- 安野:実際にそうした出口に向けて、今回の提言も検討の俎上に載せていただけるのだと思いますし、我々としても貢献できるところがあれば、しっかり貢献していきたいというお話をさせていただきました。
- 高山:また具体的な中身でいうと、について、失業のショックがあったときに支えることはもちろん大事だけれども、あわせて人手のニーズが高いところへ調整できるよう、既存の制度も活かしながら調整が図られるといい、というお言葉をからいただきました。
- 記者:先週に続いて今回も政府に提言されましたが、AIやデジタルが社会に与える影響に危機感をお持ちなのかと思います。チームみらいとしての前提となる感覚と、今後どのように提言していきたいかをお聞かせください。
- 安野:まさにおっしゃる通りで、我々は、AIが世の中を非常に大きく変えるのではないかという見立てを持っています。 産業革命の当時、石炭の技術が社会のあり方を大きく変えました。電力の普及もそうです。それが今、AIによってまた引き起こされようとしている。その変化の大きさは、下手をすると産業革命以上かもしれないと思っています。 これはテクノロジーだけの話ではなく、あらゆる業種、あらゆる生活者に影響が及ぶものなので、考えるべきことはたくさんあります。先週末は、今週はと規制改革の話でしたが、このように技術の変化に先んじて受け身を取らなければならない領域は多々あると思いますので、しっかり貢献していきたいと思います。
- 記者:「」という言葉だけ聞くと、仕事がなくなってしまうのではないかと不安に思う方もいると思います。過度に怖がらなくてもいい、ということでしょうか。
- 安野:正しく危機感を持った方がいいと思っています。怖がりすぎる必要はありません。ただ、先行する海外の事例を見ても、論理的に考えても、一部の職業ではAIが雇用に相当大きな影響を与えると思いますし、一方でほとんど影響がない職種もあると思います。 日本は総合的に見れば、基本的には人手不足です。今は全産業で人手不足の状況だと思いますが、AIによって起きるのは、ある産業だけ人がものすごく余り、他の産業はすべて人手不足という状況だと思います。AIの影響を強く受けるところだけ、モザイク状に人が余る。これをいかにスムーズなにつなげられるかは、今後10年の日本が直面する大きな課題になると思います。 日本は他の国々と違い、少子化に伴って人がどんどん減っていくなかで、人手不足にどう対応するかがメインイシューです。ただ業界ごとに見ていくと、そうでもないところがボコボコと出てくるだろう、と。 しかも、その変化は突然やってきます。近年のソフトウェアエンジニア、コンサルティング業界、リサーチャーの例を見てもそうです。たとえば数学の領域も、去年までは数学者はAIの影響を受けないと言われていましたが、今年の9月頃にはについても一定の解が示され、さまざまな未解決問題を数学者ではなくAIが解いていく、という世界観にこの1年で急速に変わってしまいました。 今、数学の世界では、産業として見たときにどうお金を回していけばいいのか、数学者がどう活躍できるようにすればいいのか、どう教育していけばいいのか、すべてを見直さなければならない状態だと言われています。このように、局所的な変化がどんどん起きていくと思います。 もう一つがです。海外ではがかなり普及してきました。日本にもドライバーの方は100万人ほどいらっしゃると思いますが、そうした特定の職種の方々が影響を受ける事態を想定して動くべきだと思います。
- 記者:に備えた生活保障を提言の柱の一つにされています。あらためてその必要性と、失業保険やなど既存のセーフティネットとのギャップについてどうお考えですか。
- 安野:まず一つは時間軸です。徐々に増えていくのであればいいのですが、AIは他の要因による失業と比べてかなり速いスピードで動いているので、短い期間に多くの失業が発生する可能性があります。まだわかりません。わかりませんが、その可能性は考慮すべきだと思います。 そうなると、先ほどのタイムラグの問題や、職業訓練校のキャパシティの問題が大きくなってくるだろう、というのが一つです。 もう一つは量の大きさです。たとえばドライバーの方は100万人いらっしゃいますが、その方々の状況がこの10年ほどで大きく変わるとすれば、それはこの数十年間経験してこなかった規模の変化になると思います。財源面も含めて、そこへの想定はしておく必要があると思います。
- 記者:先ほど、日本ではまだ大規模な雇用喪失は起きていない一方、北米ではそうした事例が起きているというご紹介がありました。北米での雇用喪失は何に起因していて、日本にとってどのような教訓になり得るのか、あらためてお聞かせください。
- 安野:AIの能力は、人間とはかなり違う凸凹があると言われています。たとえば数学やコンピュータサイエンスのような領域では、ものすごいスピードで賢くなっている。一方で、あまり賢くなっていない領域もある。そのなかで、AIが賢くなっている部分の能力を使う仕事では、人間がやってもAIがやっても変わらなくなってきている、ということです。 特に言われているのが、ソフトウェア業界やコンサルティング業界、とりわけジュニアのリサーチャー層、そして・業界です。こうした職種は、AIができるようになった能力と、働いている方が使っている能力が重なる領域なので、大きな影響を受けるのではないかと言われています。 日本への示唆としては、アメリカは解雇規制などの制度も違うため、企業側のアクションも早く、影響もかなり先に出始めています。その先行指標は大いに参考になると思います。 日本にも・業界はありますし、同じような職種で同じ規模の変化が起き得ると想定できます。ではないですが、「タイムマシン失業対策」を組めるだけの時間差があるので、それを活かしてしっかり取り組むべきだと思います。