2026年11月5日·衆議院·委員会·内閣委員会
【全文】衆議院 内閣委員会 質疑/国会対策委員長・高山聡史(2026年11月5日)の要約
会話形式(原文ベース)
- 高山聡史チームみらいの高山聡史です。 本日は、の先生方に、犯罪被害を防ぐための今回の警職法改正の必要性と、適正な運用を確かめるための仕組みについて伺ってまいります。 まず、成瀬に伺います。 ご提出いただいた資料では、をとして創設することは必要不可欠とされています。そこで、この制度を警職法に位置づける意味について、あらためて確認をさせてください。 法案は、がすでに行われ、またはされたと認められることなどを前提に、すでに生じた被害の拡大や、これから生じようとしている被害を防ぐための制度を設けるものと承知をしております。 犯罪の捜査や訴追を進めることと、被害を受けるおそれが切迫している方を特定し被害を防ぐということでは、権限を行使する目的に違いがあるというふうに思います。 このように、被害の発生や拡大を防ぐという目的を踏まえれば、今回の調査を警職法上の行政調査として位置づけることには合理性があるという理解でよいでしょうか。刑事手続きにも犯罪を防ぐ働きがあることも踏まえて、その役割を含めて、理由をお聞かせいただけないでしょうか。 これと併せて、捜査目的でこの権限を行使することが許されないということは前提として、適法に得た情報が後に必要な手続きを経て刑事利用される可能性があるというだけで行政上の位置づけが否定されるのか、ご見解を伺います。
- 成瀬剛 参考人(東京大学大学院法学政治学研究科教授)ご質問いただき、ありがとうございます。お答え申し上げます。 まず、は、第1条に目的が書いてありますけれども、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正、迅速に実現すること、端的に申し上げれば、特定の犯罪の訴追、処罰を目的としているのがでございます。 それに対しまして、警職法というのは、これまた一条に目的がありますように、警察官が個人の生命、身体、財産の保護をし、犯罪の予防をするために必要な措置を定めている法律でございます。 今回設けるは、今先生がおっしゃっていただいたとおり、犯罪の被害の発生あるいは拡大を防止する目的として設ける措置ですので、これはまさに上の目的にかなった措置であり、警職法を改正する形で導入することが適切であるというふうに考えてございます。 先生のご質問の中で、に従って捜査を進めることが犯罪予防につながる面もあるのではないかというふうなご指摘がございました。それは先生がおっしゃるとおりでございまして、たとえば、常習的にすりを行っている人物を特定し、特定の過去の常習すりに関する犯罪を摘発して訴追、処罰することが、その常習のすり犯による新たな犯罪を防ぐことに事実上つながるという面がありますので、上の措置というのが犯罪予防にも意味を持っていることは先生がおっしゃるとおりなんですが、ただ、あくまでも、の処分の目的自体は、特定の犯罪の訴追、処罰を目的とするものでありますので、今回のように、犯罪の被害の発生、拡大を防止するという観点でいえば、警職法に規定を設けることが適切だというふうに考えております。 その上で、質問の後半で、今回のについて、第9条の第11項で、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないという規定があることを踏まえ、後に犯罪の捜査として扱われ得るということを認識しているだけでこれに当たるのかというご質問だったかと理解しておりますが、今回設けられるのはでありまして、似たような制度として、税務署・等が行うというのもでございます。 それに関しては平成16年に最高裁判例が出ておりまして、を行う人が、後に、によって得られる証拠が後の犯則事件、要するに、刑事事件の証拠として使われることを認識しているだけでは犯罪捜査のためにを使ったことにはならないんだというふうに判例も述べておりますので、今回のについても、もちろん、目的としては犯罪被害を防止するためにやるわけですが、頭の片隅に、もし犯罪に関する情報が得られたら、刑訴法上の手続きに従って、後ほど証拠として刑事裁判で使われることもあり得るなというふうに認識するだけではこの第11項には当たらない。第11項に当たるのは、文字どおり、犯罪捜査、特定の犯罪の訴追、処罰を主目的として電子計算機調査を実施した場合には、それは違法になりますということを定めた規定だと理解しております。 以上です。
- 高山聡史ありがとうございます。大変クリアになりました。 続いて、尾崎に伺います。 先ほど、実際にどの情報にアクセスをして、何を複写し、対象外の情報をどう選別して消去したかを検証できることが必要であると先生はおっしゃっておりました。また、取得から提供後の利用、保存、消去まで、つながりのある規律を明確にするという必要性もご指摘いただきました。 検証の土台になる記録について伺います。 情報の取得、提供、消去などを、誰が、いつ、どの範囲で行ったかということを後からたどれる記録がないと、検証の信頼性ということも損なわれると思います。 そこで、必要な記録を作成、保存するとともに、その記録の改ざんを防止したり、検知できる措置を講じることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 先生が意見陳述されていた、より専門性と独立性の高い監督機関による検証を実効性のあるものにするためにも、こういった記録の改ざん防止または検知を確保する必要性について、お考えをお聞かせください。
- **尾崎愛美 参考人(筑波大学ビジネスサイエンス系准教授)**ご質問いただき、ありがとうございます。 まさに、先生がおっしゃっていただいたことは、おっしゃるとおりでして、私も、そういった仕組みを整えていくことは重要と考えております。先生のご意見に異存ございません。
- **高山聡史**ありがとうございます。 検証しようと思ったときには、必要な記録、ログがあるということが不可欠であると思います。ありがとうございます。 続いて、野口に伺います。 先ほど、八条のに必要な情報を収集する活動であることから、九条の調査も行政手続きであると位置づけられる、また、八条が九条を抑える構造になっているというご説明がありました。 この点について、もう少し確認をさせてください。 これから生じる被害であったり、すでに生じた被害の更なる拡大を防ぐために第8条の措置を講じる、そのために必要な情報を得るのが第9条の調査という関係だと受け止めております。今回の調査の直接の目的と第8条との結びつきというところが重要なのかなというふうに受け止めました。 そこで、第8条の行政上ののために情報を収集することが、第9条、行政上の調査として位置づける根拠となる、また、第8条の措置に必要かどうかという観点から、調査の必要性や取得する情報の範囲も限定されるという考え方、理解でよろしいでしょうか。 また、これに関しては、裁判官への許可申請だけでなく、実際に調査を行うときも保たれる必要があるという認識で合っているか、ご認識を確認させてください。
- **野口貴公美 参考人(一橋大学大学院法学研究科教授)**ご質問ありがとうございます。 私は専ら行政法を勉強しておりますので、行政情報というのは、情報を収集すること自体が目的なのではなくて、何らかの行政目的に使うために情報を収集するものであると考えます。 ですので、今回、第9条で、で得られる情報というのは、何かに使われるために情報を収集するのである。そう考えると、何のために使うのかという本体の規定が必要になるはずで、であれば、第8条において、一般的に警察官というのは、第8条に書かれていなくとも個人の生命身体を守る、そういう責務を担われているわけですけれども、そのうち、特に、ここに書かれている要件を満たすものについては法律上必要な措置を取らなければならないという、かなり強い規定において法的な義務にしたというのが今回の規定だと思います。 なので、第8条あってこそ、その第8条の措置を取るのに必要な情報というのが、今デジタルな時代になっておりますので、普通の手法ではなかなか得られないというところをどう満たすかというのが第9条であると思います。 情報収集の目的が定められていないと情報収集活動が広がりかねないという意味で、先ほど、第8条が置いてあり、順序よく8、9と定められているのが非常に重要だという話をさせていただきました。 ただ、これまでの意見の中でも交わされていたかと思いますが、第8条の方が広くて、第9条はそこにがあるという要件が加わっていますので、第8条は、何というんでしょう、私たち国民にとっては大変ありがたい、被害を防止しなければならないと書いてくれている規定で、ただ、第9条の情報収集手法がこれまでにはない新しい手法だということで、要件を厳しく慎重に定める必要がある、そういう関係になっているんだと思います。 私からは以上です。
- **高山聡史**ありがとうございます。 第8条、第9条の関係性、よく理解ができました。これが、裁判官の許可であるとか、あるいは実際の調査においても意識されるということだと理解をいたしました。 次に、小西に伺います。 先生は、国会へのの必要性について指摘されております。そのご意見を踏まえて、国会が何を検証できる報告であるべきか、内容について、これまでの質問でもありましたが、あらためてお聞きしたいと思います。 まず、実施件数であるとか対象となった犯罪の罪名や類型といった、権限がどこまで用いられているかを確認する観点があると思います。そして、もう一つの観点は、取得情報の捜査への提供や利用に関してで、先生は、刑事手続きへの転用が許される個別の要件を厳格に定めるべきだと述べておられます。その要件や手続きを明確にした上で、実際に守られたか、不適切な取り扱いが万一見つかった場合にはどう是正されたかを国会が継続的に確認できることも重要ではないかと考えます。 個別事件の捜査や関係者のプライバシーへの配慮はもちろん必要ですが、国会への報告や一般への公表について、それぞれ情報の範囲や取り扱いを適切に定めながら、実質的な検証ができる内容を確保する必要があるというふうに私は考えます。それも踏まえて、報告を法律上義務づけるべきだというお立場も踏まえて、今申し上げた二つの観点から、報告に含めるべき事項とその必要性について、お考えをあらためてお聞かせください。
- **小西葉子 参考人(関西学院大学総合政策学部准教授)**お答えいたします。 今委員がおっしゃられました権限の運用、そして、刑事手続きにもし転用するようなことがあるならば、その状況を確認するというのは非常に重要なことであると私も考えます。 特に、二番目の刑事手続きへの転用に関してですが、もし転用をまったく認めないのであれば、それを法律上明記すべきですし、例外的に認められると考えるのであれば、最初からその要件を厳密に、厳格に明示しておくべきです。 なぜなら、先ほど成瀬がおっしゃったに関する最高裁判所の判断ですけれども、こちらは初めから犯罪捜査を念頭に置いて制度設計がされたわけではないものと理解しております。これに対して、今回の法律案は、の段階で、刑事手続きへの取得した情報の利用の可能性が検討されているという意味で、法律を作る段階でそのことが意識されているかどうかが大きな違いであるのではないかと私は思っております。 その観点から、先ほど委員がおっしゃられた二つの要素、これを検証できる国会への報告が法律上定められるべきだと私は考えております。 以上です。
- 高山聡史ありがとうございます。 国会が検証する検証するといったときに何が検証できるかというところで、大変貴重なご意見であるというふうに思います。 国会への情報提供に関連して、成瀬にもう一点伺いたいと思います。 先ほど来、を法定しない形の案の立場も理解できる一方で、実務上は実施状況を国会に報告する、公にするということに対しても前向きなご意見であったというふうに理解をしております。 法律上の報告義務を置かない場合でも、国会に実施状況など適正な運用を検証するために必要な情報を継続的に提供して、国会が検証できるようにすることは重要であるというふうに考えますが、あらためて、この辺り、国会への情報提供についてご見解を伺います。
- 成瀬剛 参考人(東京大学大学院法学政治学研究科教授)お答え申し上げます。 先生がおっしゃるとおり、今回は国会への報告を法定するということはしておりません。それについては、冒頭の意見陳述でも申し上げたとおり、今回の電子計算機調査が1回的な情報取得であって、のような、継続的に処分を続けてリアルタイムにどんどん生成するデータを取っていくというふうな措置とは異なる措置であることから、法定まではしないということも理解できるところであります。 ただ、今回、このような新しい措置を導入することに対して、国民の皆さまは大きく期待するとともに、一抹の不安も持っておられるんだろうと思います。私自身も、この検討会に参加しましたけれども、本当に適正に運用されるのかについて一抹の不安は持っております。そのような観点からいたしますと、法定はしなくとも、実務上は何らかの形で実施状況を公にすることが必要である。 ただ、先ほど来申し上げておりますとおり、相手にしているのはでありまして、情報の出し方は非常に慎重に考えなければならない。内容もそうですし、方法も、あるいは時期も慎重に検討する必要がありますので、今回、法制度上、悉皆的な報告を受けるであろうの立場において、どのような形で公にし、透明性を確保していくのかということを十分にご検討していただいた上で、きちんと国会議員の先生方、そして国民の皆さまに実施状況を伝えてもらうということが大事だと考えております。 以上です。
- 高山聡史ありがとうございます。 手のうちを明かさないということの重要性はありつつ、国会が検証できることの重要性というところに関しては同じ思いであるというふうに思いました。 私からの質問は以上です。皆さまありがとうございました。