2026年4月15日·衆議院·委員会·内閣委員会
【全文】衆議院 内閣委員会 質疑/幹事長・高山聡史(2026年4月15日)の要約
会話形式(原文ベース)
- 高山聡史チームみらいの高山聡史です。 本日は、最新のAIモデルによってもたらされる情報環境の非連続的な変化について質問をさせてください。 そもそも、わが国は、に至るまでも、、、そしていわゆるセキュリティー法、法と、10年以上にわたって情報保全と国家安全保障の法整備を積み重ねてきたわけであります。本法案も、こうしたこれまでの議論の文脈も踏まえて情報部門の司令塔機能を強化するものであると理解しています。 その上で、本日まず問いたいのは、この10年、15年の法整備が前提としてきた情報環境そのものが足下で非連続的に変化をしているのではないかという話です。 つい最近の話ですが、今年4月、米国のAI開発企業のは「」という最新のAIモデルを発表しました。このモデルは、ーの分野において、わずか数週間で主要なOS・WEBブラウザーのすべてに対して、数千件もの深刻なを発見したと報告されています。その中には、セキュリティーに定評のあるOSに対して、これまで27年間発見されていなかったようなも含まれていると報じられています。 これは、サイバー分野における先進的なAIモデルの能力が、その分野の熟練した専門家を凌駕するような水準に達したということを示すものです。 すごいAIモデルが出てきたという話はもうこの1、2年、何度も我々はニュースで経験していることでありますが、今回のケースは単なる新製品の発表ということでは片づけられません。最高レベルの専門家を超える、そういったAIが悪意のある主体に渡ってしまうということがどういう意味を持つか。 実際、開発したは、米国政府の関係者に対して、大規模なが発生する可能性が高まっているという警告をしたという報道もございます。そして、この最新モデルは、まず一般公開はしないという選択がなされたわけです。 これは、たまたま一企業が開発したAIの性能がよかったというだけで済む話ではなくて、同等の能力を持つAIが出回る前に、この出回るというのが半年なのか1年なのか、もしかすると、これは全然別の話ですが、の日数よりも短いかもしれないような時間軸でどう防御するかを考えないといけないというわけです。 その上で、木原に伺います。サイバー分野における海外の先進AIモデルの能力が当該分野の専門家を凌駕するようになったという、こういった非連続的な変化に対して、本法案で設置されるおよびはどのように制度的に対応していくお考えでしょうか。ご認識をお聞かせください。
- 木原官房長官今の委員のご質問は、先進AIモデルの能力が同じ分野の専門家、人間の専門家の能力をもうすでに凌駕をしてしまって、システムなどの発見の自動化や高速化を通じるなどして安全保障の在り方にまで影響を与えるのではないかという、そういった趣旨のご質問だったと理解をいたしますが。 その点、やまたサイバー空間を含めたなど、情報機関が対処すべき分野というのは広がりを見せています。AIの進化によりもたらされ得る脅威というのは、これはさまざまな分野にまたがっているというふうに考えています。そのため、お尋ねのような先進AIモデルの最新動向であるとか、また、それが引き起こすさまざまな影響について、まずは情報機関が適切に把握をしていくこと、ここに大きな意義があるというふうに、今ご質問を聞いていて、感じたところであります。 そのほか、政府としては、偽情報などを効率的・効果的に収集・分析するためにもAI技術の活用を進めていくことが重要と考えており、これは対症療法になるんですけれども、しかし、それでもやらなきゃいけないと思っています。内外の最新の技術動向にも注視する必要があると思っています。 AI分野というのは、これは民間が先行していますので、企業やまた研究機関との連携も不可欠だと政府として考えています。また、高山委員のようなAI技術に詳しい専門人材も情報機関にはこれからは必要になってくるんだというふうに率直に思います。 最先端のAI技術がもたらす大幅な社会環境の変化というのを踏まえて、これらをあらかじめすべて予見して制度的に担保していくというのは私は限界があるんだろうと思っていますから、今回新法を通過させていただいた後には、やがその脅威やその兆候をいち早く把握し、機動的に対応すること、これが不可欠であろうかというふうに考えております。
- 高山聡史ありがとうございます。 今からも、専門人材が必要であるんだというご認識、お示しいただきましたが、まさに、これまで、業務といえば、そこで求められてきた知識・技能というものは、地域の専門性であるとか、言語能力、情報分析、の収集であったりとか、体系的に積み上げられてきたものがあるということを理解しております。 もちろん、これらは引き続き情報部門にとって鍵となる技能であるということでございますが、先ほど申し上げたAIの事例が示すのは、それだけではなくて、最新鋭モデルそのものの能力評価であるとか、学習データ、訓練プロセス、そういった仕組みに対する基本的な理解、そして、民間企業がモデルをどうリリースするかという、その戦略が持つ的な意味合いといった、これまで情報部門ではあまり主たる分野として思われていなかった分野が、その求められる専門性が大幅に引き上がる、こういった事態であると思います。 もし、そういった検討をすでに政府の方でも行われていれば、そういった専門人材を情報部門にどう取り込むかというところについて、政府のご認識をお聞かせいただけますでしょうか。
- 岡内閣審議官私も今委員のご指摘を伺って、なるほどそうだなと思うことばかりでございました。 AIを使う側の立場としても、また使われてしまう側の立場としても、双方の立場でAIのトレンドないし技術というのをしっかりと組織として理解する必要があると強く認識しております。 一方で、AI人材というのは、ご案内のとおり極めて希少でございまして、ないし()が旗を揚げたからといって、直ちに転職・転籍していただけるというものでもないというのが厳しいところでございます。 我が方にも、理系の人材もおりますし、また学際的に文理両方勉強している若い方も獲得できておりまして、そうした者が、率直には、組織的にではなくて独自に研究を重ねているというのが実情でございます。 ただ一方で、何も、内製化といいますか、職員自らが最先端の研究家である必要も必ずしもなくて、先生方のようなご専門の方にお話を伺ったり、あるいは勉強の仕方についてアドバイスを伺ったり、さらには、先ほどちょっとご指摘ございましたけれども、そういう技術を有している民間企業ないし研究機関とコラボをいたしまして、さまざまな分析手法などについて研究を重ねているところであります。 いずれにせよ、今後、拡大こそすれ縮小は一切しない分野であると思っていますので、重点事項として肝に銘じたいと考えております。
- 高山聡史ありがとうございます。 まさに、こういった、ともすると少し毛色が違うと捉えられやすい技術の動向に関する話が、こういった情報部門の強化ということに対しても論点になるということは申し上げたいと思います。 続いて、同盟国のコミュニティーとの情報共有の関係について伺います。 今、アメリカのAI企業の例を申し上げたわけですが、まさに今、と米国政府、いろいろやり取りがあるものと思われます。こうした事態の対処においても、日米は同盟国としてぜひ緊密に連携して事に当たっていただきたいわけです。しかし、海外各国の情報機関の連携においては、いわゆる(米英などアングロサクソン系の英語圏5カ国によるUKUSA協定に基づく機密情報共有の枠組みの呼称)とそれ以外では、依然として構造的な非対称性があるという指摘もあるかと思います。 本法案でが設置されるということは、わが国の同盟国、そして準同盟国といいますか、そういった友好国との情報共有関係をより深めるきっかけにできるのではないかと考えますが、具体的にどのように関係強化の余地があるとお考えでしょうか、政府の認識を伺います。
- 岡内閣審議官本法案によります司令塔機能の強化は、同盟国またはの政府や各情報機関からは好意的に受け止められるはずの取り組みであり、外国との情報協力業務をより深化させるきっかけとなる制度改正であるというふうに考えております。 まず第一に、同盟国またはが期待をなさるのは、わが国の情報コミュニティーが生成する情報のプロダクトが質・量の両面で充実することでございます。相手国との協力関係が深まるかどうかは、国同士の目標や利害の一致・不一致だけでなくて、ギブ・アンド・テイクの要素もございまして、つき合っても仕方のない相手とつき合わないわけでございますから、優れた情報があればより充実した情報交換を行うことができるようになると考えております。 さらに、国としての信頼性や期待の高まりという点では、やはり総理をトップとする閣僚級の推進母体をつくるという画期的ともいえる体制強化を実現することができれば、相手国から業務の重要なパートナー国として、より関係を強固にしたいと考えてもらえるものと確信をしております。 さらに加えて申し上げると、内閣情報官の政府内における地位が高まることで、今でも各国のトップと協力関係は従前より構築はされておりましたけれども、こうした関係がより強固で深いものとなっていくに違いありません。 以上による外国との関係の強化は、わが国政府の得るの水準向上に大きく寄与しまして、ひいては外交力、防衛力、経済力、そして技術力の強化につながるものでございます。
- 高山聡史ありがとうございます。これはぜひやっていただきたいと思います。 私、なぜこの問題意識を強く持ったかというと、たとえば先ほどのの話、アメリカでは4月7日火曜日に財務長官と議長が金融機関に対して働きかけをしたと報じられています。次に動いたのがカナダでして、4月10日にカナダ銀行が動いた。そしてイギリスの対応が報じられたのは4月12日で、イングランド銀行がそういった協議をしているという報道がございました。 7日、10日、12日。この3日、5日の違いが大きな違いになってはならないわけで、わが国においても同盟国との連携というのは極めて重要で、こういった時間軸が1週間、2週間遅れるということが、非常に重要な事態においてはクリティカルになるということは、これはAIの例でなければ皆さますごく腹落ちすると思うんですけれども、こういったAIの事態においては、3日、5日、あるいは1週間、2週間がすぐ経ってしまうということではいけないと思います。 続いて、先進的なAIモデルを有する海外企業との関係構築について伺います。 冒頭申し上げたは、「」として限られた企業・組織に対して最新モデルの先行アクセスを提供してセキュリティー対策のプロジェクトを立ち上げたというわけです。これに対して日本企業や日本政府がどうアクセスできるようにするか。 短期的には、わが国の外交交渉の極めて重要な対象としてこういった海外の先進的な民間企業を対象に含めなくてはならないということを意味すると思います。同時に、他国の民間企業に依存し続ける構造自体がわが国の安全保障上のリスクであるわけで、戦略を正しく立てることの重要性もさらに増しています。 その上で、伺います。こうした海外の民間企業への等、中長期の戦略、これはまさに異なる省庁の異なる文脈で車の両輪のように進めていくべきテーマにおいて、もちろんこれは情報部門と政策部門それぞれあるということは承知をしておりますが、は司令塔機能をどのように担保をして、政策部門をどのように支えていくことになりますでしょうか、政府の認識をお伺いします。
- 鎌谷内閣審議官お答えをいたします。 AIがもたらす脅威につきましては、先ほどの長官ののとおり、や偽情報の拡散などさまざまな分野にまたがると考えておりまして、先進AIモデルの最新動向、あるいはそれが引き起こすさまざまな影響につきまして情報機関が的確に把握していくことは大きな意義があるというふうに感じております。 特に、最先端のAI技術の開発につきましては民間企業レベルで進められているものが多くございまして、国家間の外交だけではまだ十分に対応できない可能性もございますので、そのような意味におきまして、ご指摘のいわゆるといったものをいかに確保していくのかということについては、情報部門のみならず政策部門においても重要な意義を持っているのではないかというふうに考えております。 この点につきまして、昨年12月に閣議決定されましたAIの基本計画、これらの政策についての文書ということになりますけれども、ここにおきまして、AIの利活用および研究開発を積極的に推し進めると同時に、AIの技術進歩とともに変動するリスクを適時適切に把握する促進とリスク対応の両立をすること、また、国内政策だけではなく、対外政策を表裏一体かつ有機的に組み合わせる内外一体で政策を推進すること、このようなことがうたわれているところでございます。 私ども情報部門といたしましては、政策部門におけるこうした政策を情報面から支援することにつながるように、最先端のAI技術についても、現況を踏まえまして、が効果的に機能するように努めていきたいと考えております。
- 高山聡史ありがとうございます。ぜひ、やっていただきたいと思います。 民間のであるとか、情報部門を仮に情報を調査する部門と例えるならばそうですが、あるいは政策部門、実際にを行う部門ですね。民間であれば業界別に、リレーションであったりとか専門知識であったりとか、そういった部署を置くことは当然に考えられることだと思います。 仮に、今回、海外のAI企業に対する交渉が重要であるということであるならば、そうした領域の調査であるとか、あるいはそうした領域での交渉経験がある人材というのは極めて重要になってくると思いますので、ぜひ、情報部門・政策部門それぞれで整備がなされることを望みます。 最後に、防護に関する論点について伺います。 本日、AIの話をずっとしているわけですが、最新のAIモデルが悪意のある主体に渡った場合、の発見から悪用までの時間軸が桁違いに短縮されることになります。数週間で数千件のこれまで見つけられなかったような問題が見つかっているというわけですから、そういったかなり厳しい時間軸で、機能が満たすべき時間軸的な制約も高まっているということになると思います。 実際、自身、昨年、中国系の攻撃主体が同社のAIモデルを悪用して攻撃を自動化した事案をすでに公表しています。今日お話ししたようなモデルでなくても、AIモデルがスパイ活動に使われるということ自体は、将来の懸念ではなく、すでに起きている話です。 こうした環境において、プロダクトは、生産されるだけでは意味がなく、事業者の現場の防御のオペレーションに接続されて初めて実効性を持つわけですが、本法案のの下で事業者との連携はどう整備されていくべきか、政府の認識を伺います。
- 鎌谷内閣審議官お答えをいたします。 先進AIモデルを用いた脅威というのは、顕在化するまでの時間が極端に短いということが懸念されるところでございます。 そういった意味で、平素から事業者等との情報交換・連絡体制の構築を進めておくことが求められると認識をしております。特に、委員ご指摘がありました、先進AIモデルが悪意のあるような主体の手に渡ったような予測困難な脅威に対しては、官民が一体となって効果的に対応できる体制を構築するための新たなのの構築が必要であると認識をしております。 こうしたことから、本年秋から基幹インフラ事業者・機微情報取扱事業者・セキュリティー・政府機関等が構成員として参加する新しい協議会を立ち上げ、の総合調整の下で、平素および事案発生時における共有情報等の相互供与を行うこととしております。 ・におきましては、新たに付与される企画立案・等に基づきまして、情報の収集・集約・分析を強化いたしまして、たとえばー分野におけるに関しても、等の関係機関と連携して、その結果を提供することで、こういった取り組みが実効性あるものとなるように努めてまいります。
- 高山聡史ありがとうございます。 今もというキーワードを複数回いただきましたが、省庁間の連携だけではなくて、官民の連携の強化というところにも、このがうまく活用される、実際にそういった実効的なオペレーションに落とされるということを期待しまして、私の質問を終わります。